白い少女―twinkle,twinkle― ずっと、永遠に、誰のためでもなく、何を待っているわけでもなく、何の期待もしないでそこにそっと輝く星たち。 白い少女はいつも夢見ていた。 自分があの人々の不安を表したような一面の暗黒に広がる星のようになれたら。 白い少女はそう思って両手を顔の前まで持ってくると、そっと目を閉じてゆっくりと手に口付けた。 星たちはそんな儚く健気な少女を優しく零れる光で包み、満たした。 そんな少女に一人の星が恋をした。 彼は少女とは対象的に、真黒で輝く星たちにも邪見にされた“汚れた”存在だった。 汚れた星は自分と同じ真黒な影から彼女を見ている。 真黒だから、白い少女は彼に気づかない。 汚れた星はだから、いつも願っていた。 自分がいつかあの白い少女のような神々しい存在になれたら。 ずっと――― その子たちは願ってる――― 「自分が輝ける存在になれる日を」 少女は月明かりで満たされた海の上、舟に揺られていつものように星を見ていた。 沢山の星。変わらぬ輝き、不変的。彼女の永遠の憧れ。 水面が揺れて、舟をゆっくりと揺らす。 ちゃぷん。ちゃぷん。 揺れる―――揺れる―――その明かりが届かぬ先の暗闇。 海の下。ずっと暗い底。 汚れた星は白い少女を見つめていた。 彼は彼女が星たちを見る姿が好きだった。気づくともう彼の心は彼女で満たされていた。 いつもは他の星にのけ者にされ、罵られているのも、今の彼には聞こえはしなかった。 白い少女はあの星を掴もうとして小さな手を一生懸命に伸ばした。 光は掴めても、星はいつまでたっても掴めない。 小さな舟は揺れる。ちゃぷん。ちゃぷん。 白い少女は星を掴もうとして、舟から落ちてしまった。 だが、少女は落ちてもなお、ゆっくりと沈みながらその光を掴もうとした。 どんどん光から遠ざかっていくばかりなのに、少女は手を伸ばす。 少女が掴んだのは彼女と対照的な真黒な手。 沈み行く彼女を掴んだのは汚れた星の彼。 でも、白い少女は決して汚れた星を毛嫌いしたりせず、彼が手を引くままに水面へと浮かんだ。 真黒な彼が白い少女を砂浜まで運ぶと、白い少女は黒い彼に問いかけた。 何故あなたは真黒なの? 汚れた星は口を閉ざしたままだった。 白い少女に嫌われていると思ったから。 白い少女は答えを聞かずに続けた。 何故あなたは温かいの? 汚れた星は何を言われたのかわけが分からなくなって、首をかしげた。 白い少女は言った。 真黒でもとても温かいの。 ふわふわと心が羽になったように。 私は星が好きだわ。 星は輝いているだけで何もしてくれない。 でも真黒な君は温かい。 きっと色や形なんて関係なかったのね。 暗いものでも、温かいものはある。 輝かしいものでも、冷たいものはある。 そういい終えると、白い少女は汚れた星の頬にそっと口付けた。 照れた真黒な彼の手を引いて白い少女は歩き出す。 夢が醒めると、その真髄に気づくんだ。 色や形ではない、その奥にあるものに価値があるんだと。